廃棄物処理施設設置許可専門行政書士・環境計量士による生活環境影響調査の解説

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廃棄物処理施設設置に関する
生活環境影響調査の解説

廃棄物処理施設設置手続に伴う生活環境影響調査の解説

廃棄物処理施設設置コンサルタント河野雅好
本記事は、廃棄物処理施設設置許可手続と生活環境影響調査を専門とする株式会社Midori代表取締役河野雅好による生活環境影響調査の解説です。

生活環境影響調査に関する疑問の解消に繋がれば幸いですが、弊社では無料相談もお受けしていますので、ぜひご活用ください。

株式会社Midori
代表取締役 河野雅好
廃棄物処理施設周辺の道路交通騒音(超低周波音)・振動の測定調査

001.生活環境影響調査が廃棄物処理法に定められた理由

執筆者 河野 雅好
全国の廃棄物処理施設設置と生活環境影響調査を手掛ける環境コンサルタント
株式会社Midori代表取締役
行政書士・環境計量士
公害防止管理者・測量士
平成9年6月の廃棄物処理法改正により、廃棄物処理施設設置許可手続の中で生活環境影響調査が求められることになりました。生活環境影響調査の新設と同時に、焼却施設や最終処分場等の一部の施設では、申請書および生活環境影響調査の告示・縦覧手続や市町村長の意見聴取、さらには専門知識を有する者の意見聴取が盛り込まれることになりました。ここだけを切り取ってみると、平成9年の法改正は、廃棄物処理施設を設置させないようにする法改正のように感じるかもしれません。しかし、平成9年までの時代にあっても、四半世紀の時を経た現代にあっても、廃棄物処理施設が社会のインフラとして必要不可欠な施設であることには変わりはありません。廃棄物処理施設設置に生活環境影響評価を取り入れた法改正は、決して廃棄物処理施設の設置を阻止することを目的とするものではなかったのです。

平成9年の法改正前には、事業者と地域住民との間で廃棄物処理施設の設置や運営等に伴う紛争が全国に多発していました。従来は、廃棄物処理施設の設置には、生活環境の保全のための技術上の基準が廃棄物処理法施行規則に定められ、その要件の適合を廃棄物処理施設設置の許可要件としていたのでした。廃棄物処理施設の設置許可を出す立場にある行政庁としては、法令に適合しているとすれば許可を出さねばならず、とはいえ生活環境の保全という重要な法目的のためには、監督官庁は許可にあたって事業者に十分な指導を行う責任があったわけです。事業者と住民の間に立たされた行政は、法目的を達成するために、法律に根拠を持たない行政指導という方法で、事業者に地元住民の同意を取ることを求めるという、いわゆる「住民同意制度」を独自に推し進めていったのです。

ところが、同意制度自体は行政指導、せいぜい指導要綱等に定められているものであって、国民を直接拘束することはありません。極端な話、事業者が「同意はとりません」と宣言しさえすれば、行政庁は指導を継続することができなくなってしまうのです。では、廃棄物処理施設設置における同意の意義は一体どこにあるのでしょうか。これに対する回答として、ひとつの下級審裁判例があるので、紹介します。札幌地判平成9年2月13日の産業廃棄物処理施設設置不許可処分取消請求事件です。なお、第一審は不許可処分の取消判決が出て事業者側が勝訴しました。その後、控訴審( 札幌高判平成9年10月7日)も控訴棄却で事業者側が勝訴しました。今回は第一審について解説してみます。

事案は、ある事業者が廃棄物処理施設設置許可申請を行い、都道府県知事等(今回は政令市長)が不許可処分をしたため、事業者が不許可処分の取消訴訟を起こしたものです。都道府県知事は、不許可処分の理由について、廃棄物処理法に定める許可基準違反がないことを認めたうえで、法の趣旨から導かれた広範な裁量権をもって不許可処分の根拠としたのです。ひとつ目の根拠は、廃棄物処理法に定めている許可要件は、必要最小限の要件を全国一律に定めているもので、それらの許可要件のみでは生活環境の保全を達成することはできないというものでした。これをアセス風に言い換えると、法令の許可要件は地域特性を考慮していないではないか、ということです。ふたつ目の根拠は、都道府県知事に与えられた権限としては、許可に条件を付すことのみしか与えられていないことを理由にします。都道府県知事の許可処分に生活環境の保全上必要な条件を付することができたとしても、事実上不可能なことを強いるような条件を付すわけにはいかないため、条件を付することによっては生活環境の保全という目的を達し得ない場合には、当該施設の設置を不許可にする裁量が認められているのではないか、という主張でした。

この2つの主張は実に「ごもっとも」なのです。本件においては、都道府県知事が「事業者いじめ」をしたとか、地元住民との紛争をさけるために事業者の事業計画を行政庁が握りつぶしたとか、そのような話とはまるで異なる背景が見えてきます。このような「ごもっとも」な都道府県知事の主張に対して、札幌地裁も実に「ごもっとも」な判断をします。札幌地裁は、次のような理由で、都道府県知事の不許可処分を違法としました。処理施設が法令に適合していることは事業者と都道府県知事の間に争いがなく、都道府県知事の行政指導に従わないまま許可申請することが事業者の権利の濫用といえるような特段の事情があるわけでもないから、許可申請を不許可とすることはできない。よって、都道府県知事の不許可処分は違法である。

この判決の結論は事業者を勝たせたものですが、この結論だけを根拠に「事業者は行政指導に従う必要はない」という短絡的な話にはならないのです。実はこの判決は、結論こそ事業者を勝たせていますが、都道府県知事も生活環境の保全という法目的達成のためによくやった、というようなことを述べているのです。都道府県知事の行政指導は法の趣旨に照らし、正しかった。ただし、仮に正しいことであっても、法律の根拠なくそれに公権力を行使するとしたら、それは違法だ、ということなのです。判決は、このようなことを述べています。まず、前提として、施設の立地です。

件設置場所は、別紙「本件位置図」のとおりであり、都市計画法の第一種及び第二種の住居専用地域に近接し、周辺五〇〇メートル以内には、約一二〇〇戸の住宅があり、約三〇〇〇人の住民が居住している。本件設置場所の境界線と最も近い民家までの距離は約一〇・五メートルである。(二) 本件設置場所の周辺五〇〇メートル以内には、釧路星園高等学校、湖畔小学校、武佐児童館、武佐老人福祉センター、わかくさ保育園などの文教・福祉施設がある。本件設置場所の境界線と釧路星園高等学校の敷地までの距離は最も近い地点で約六六・五メートルである。このように本件設置場所は住宅地に隣接し、またその近くには高校、老人福祉センター及び保育所等の複数の文教・福祉施設が存在するのであるから、ここに本件処理施設を設置すれば、建設用重機の使用や廃棄物運搬車両の通行に伴い、周辺住民の生活環境や生徒の学習環境などに大きな影響を及ぼすであろうことは十分に推認することができる。

要は、施設設置場所の地域特性を考慮すると、法律に定める一律の基準では生活環境の保全という法目的の達成は困難ではないかということを札幌地裁は事実として認定しているわけです。その上で、さらに次のように述べています。

思うに、確かに、被告主張のように、単に条件を付することのみによっては生活環境の保全という目的を達し得ない場合があることも十分あり得るものと言わなければならないし、本件においても、前記のような本件設置場所に設置される本件処理施設については廃棄物処理法一五条三項の条件を付することだけでは生活環境の保全という目的を達し得なかったり、達し得ないおそれのあることが認められるものである。このようなことを考えると、生活環境の保全という重要な目的を、単に条件にかからせることによってのみ達成しようとしている廃棄物処理法一五条は、立法当時はともかく、現在においては、法の不備と評価されてもやむを得ない面があるというべきである。したがって、このような法の不備を自らの措置で回避しようとした被告の努力はそれなりに評価されるべき意味合いを有している。

原因は、地域特性を考慮せず一律基準を設けるだけで、許可にあたって条件を付すことしか用意していない廃棄物処理法の不備であり、立法の不備に対して都道府県知事は、行政指導という形で法目的を達成しようとした努力を札幌地裁は評価しているのです。とはいえ、そこから裁量を導き出して不許可処分ができるというのは、法解釈論を超えた立法論になってしまうということを指摘の上で、不許可処分の取消判決を出しているのです。

この札幌地裁判決は、全国の行政庁で行政指導としてなされてきた「住民同意制度」に一石を投じる意義がありました。「住民同意制度」は、札幌地裁判決でも認めている通り、生活環境の保全という法目的にとって一定の効果はあったものと考えられます。しかし、法令に規定のない許可申請の拒絶理由を認めるというのは、法律に基づく行政の原理に反するものであり、それに規制される事業者にとっては、憲法に保障された営業の自由の侵害を疑わせるものでした。また、「住民同意制度」には、弊害も十分に考えられます。「同意」が生活環境の保全という法目的と無関係に、取引の対象となることも考えられます。

なお平成9年改正や札幌地裁判決よりも前から、廃棄物処理施設設置における「住民同意制度」について、行政法学および環境法学の権威である阿部泰隆先生は、次のように警鐘を鳴らしていました。「他人の土地の利用について隣人=住民に同意権を与えられるはずはない。そんなことを認めたら、財産権は死んでしまう。他人の土地利用に介入するにはそれなりの基準が必要である。」(阿部泰隆「廃棄物処理法性の研究 第2章 1991年廃棄物処理法の改正と残された法的課題」)

なお、平成9年は廃棄物処理法が改正され、生活環境影響調査が盛り込まれた年ですが、この年にもう一つ、重要な環境に関する法律が制定されています。それが、環境影響評価法(環境アセスメント法)です。1992年の環境と開発に関する国際会議(地球サミット)、1993年の環境基本法制定を経て、この2つの法律の制定、改正によって満を持して誕生した国レベルの環境アセスメント制度は、廃棄物処理施設の設置において大きな変革をもたらすことになりました。生活環境影響調査制度の導入は、廃棄物処理施設の設置に関する不透明な行政指導や、近隣住民の生活環境の保全の殻を被った裏側にある利権、当時の最終処分場の逼迫事情、近隣と事業者とのトラブルなど、あらゆる問題に対して、科学的に立ち向かおうとするものでした。

平成9年の廃棄物処理法改正により、事業者と近隣住民との調整は行政指導による「住民同制度」から、法令に規定された生活環境影響調査を核とする「合意形成制度」へと進展することになりました。法令に根拠を持たない行政指導による不公正な同意の取付けを求めることではなく、生活環境影響調査の手続きに則り、事業者は合意形成を進めていくことが求められるようになりました。ところが、一部の自治体では、法改正後も依然として指導要綱等で「住民同意制度」を残していたのです。これでは、生活環境影響調査手続と住民同意手続が重複して、事業者の負担が重くなりすぎてしまいます。そこで、当時の厚生省は以下の通知を出して、法令に規定のない行政指導に対する警告を行います。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部改正について
公布日:平成9年12月26日 衛環318号
従来、法による規制を補完すること等を目的として、多くの都道府県及び政令市において要綱等に基づき独自の行政指導が行われてきたところと承知しているが、各都道府県及び政令市におかれては法改正及び基準強化の趣旨、目的等を踏まえ、改正された法に基づく規制の円滑な施行に努められるとともに、周辺地域に居住する者等の同意を事実上の許可要件とする等の法に定められた規制を越える要綱等による運用については、必要な見直しを行うことにより適切に対応されたい。

平成9年の厚生省通知は、平成9年改正を踏まえ、都道府県等が産業廃棄物処理施設設置許可に際し、住民同意を許可要件として求めることをやめるように通知しているのです。これは、札幌地裁判決、平成9年廃棄物処理法改正による生活環境影響調査制度の新設という流れで読むと、非常に理解しやすくなります。札幌地裁判決が指摘したように、廃棄物処理法15条の不備を自らの措置で回避しようとした行政指導は評価すべき面もあったが、そこから広範な裁量権を導き不許可処分を行うことは、法律による行政の原理に反する違法な行政行為と判断されるべきものでした。ところが、平成9年改正により、新たに生活環境影響調査制度が成立した以上、今後の行政処分は改正法を根拠に行われるべきであり、それにも関わらず依然として住民同意を事実上の許可要件とするような行政指導を行うことは慎むように、ということを本通知で都道府県知事等に求めているのです。

これで、廃棄物処理施設の設置に生活環境影響調査が求められるようになった歴史的経緯が理解できるのではないでしょうか。平成9年以前は、生活環境影響調査制度が法定されておらず、全国各地で事業者と近隣住民の紛争が絶えなかったこと。それに対して、行政側は立法の不備を行政指導でカバーしながら、事業者と近隣住民との関係を調整してきたこと。しかし、その際に行政側は実効性のある指導をするために、住民同意を求める運用をしてしまったため、それが違法な行政行為と司法判断されたこと。この問題を解決するために、「住民同意制度」に代えて、廃棄物処理法を改正し「生活環境影響調査制度」が法定されたこと。そうすると、生活環境影響調査に求められるべきものが見えてきます。それはつまり「住民同意にかわるもの」ということなのです。それは、事業者の所有権や営業の自由に配慮されたものであり、近隣住民の生活環境の保全に配慮されたものであり、科学的知見に裏付けられたものであり、廃棄物処理施設というインフラの社会的必要性にも応えうるようなものでなければならない、ということになろうかと思います。
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廃棄物処理施設の風向風速・粉塵測定

002.生活環境影響調査制度により「地域ごとの基準」が許可基準として新設

執筆者 河野 雅好
全国の廃棄物処理施設設置と生活環境影響調査を手掛ける環境コンサルタント
株式会社Midori代表取締役
行政書士・環境計量士
公害防止管理者・測量士
廃棄物処理施設設置許可手続において、生活環境影響調査が制度化される平成9年以前であっても、許可基準はありました。それが、施行規則に定めた「技術上の基準」です。許可を出すかどうかについての都道府県知事等の広範な裁量権はないものとされたため「技術上の基準」を満たすと都道府県知事等が判断した場合には、必ず許可をしなければならない性質の許可でした。「技術上の基準」を満たすけれども、生活環境の保全上なんらかの支障があるときに、許可を出さないという裁量権が都道府県知事等には認められていなかったわけです。かわりに認められていた唯一の権限が、許可に条件を付することができるというものでした。しかし、許可に条件を付するだけで本当に生活環境の保全という法目的を達成することが可能なのかという問題を平成9年改正前の廃棄物処理法は抱えていたのでした。

平成9年廃棄物処理法改正は、技術上の基準という全国一律基準に追加する形で、新たに地域ごとの基準を設けました。地域ごとの基準を法定するにあたってさまざまな法規制が考えられます。たとえば、都市計画法中の用途地域を基準にする方法、学校・病院・図書館等からの距離を基準にするもの、住宅地からの距離を基準にするもの、接道の幅員を基準にするものなど、様々な規制手段が考えられます。しかし、平成9年改正廃棄物処理法はこれらのいずれの方法もとっていません。廃棄物処理施設設置許可に地域特性を考慮するにあたって上記の事項を基準とすれば、廃棄物処理施設が設置できる立地とそうでない立地が生まれることになります。しかし、それでは事業特性の考慮がなされていないではないかという問題が次に発生します。地域特性と事業特性を総合的に考慮して、柔軟な地域ごとの基準を適用させる方法、それが生活環境影響調査制度ということになります。

廃棄物処理施設と言っても、これは不要物の処理施設という共通項があるのみで、それ以外は様々な特性をそれぞれに有しています。廃棄物処理法施行令7条は廃棄物処理施設を列挙しており、これらが生活環境影響調査の対象施設になります。その中で、がれきの破砕施設と廃プラスチック類の焼却施設では考慮しなければいけない環境要素は大きく異なります。同様に全く特性が異なるように見える最終処分場も、廃棄物処理施設に括られています。地域特性に応じて生活環境の保全を図らなければならないという必要性と同様に、廃棄物処理施設の事業特性に応じて生活環境の保全を図る必要性も求められるのです。地域をゾーン分けして廃棄物処理施設の設置可能場所を指定することは、そのような柔軟性を排斥することになりかねません。また、廃棄物処理施設の設置が可能とされた立地には、廃棄物処理施設の集中という現象が起きることも考えられ、それによって新たな問題が生じる恐れもあります。廃棄物処理施設の設置が可能とされた立地は、生活環境の保全のレベルを下げても構わないというレッテル貼りがなされているということになりかねません。

もう一つ、廃棄物処理施設設置において、地域特性とともに事業特性を考慮しなければならない理由として、廃棄物処理の技術は時代とともに向上しており、法規制もそれに柔軟に対応していくべきことを求められていることが考えられます。たとえば、ちょうど生活環境影響調査制度が廃棄物処理法に規定された時代は、ダイオキシン問題が世間を騒がせていた時期でもあります。ある時期から、全国の廃棄物焼却炉が一斉に悪の根源として扱われました。焼却炉に塩素や臭素を含有する物質を投入すると、必ずダイオキシン類は発生します。これらの毒性が大きく報道されるにつれ、人が生活する近隣に廃棄物焼却炉を作るなど許されないという論調が支配的になっていきます。ところが、廃棄物焼却炉はダイオキシン問題を早期に技術的に解決してしまいました。燃焼ガスの温度が800度以上、滞留時間2秒間でダイオキシン類は完全に分解されます。分解されたダイオキシン類は300度前後で再合成される可能性があるので、再合成を避けるために排ガスを急冷し一気に200度以下まで落とします。さらに、集塵機を通すことで、ダイオキシンは大気中に放出される恐れがほぼなくなります。あとは、焼却炉を安定稼働させる必要があり、キルンはなるべく大きく、さらにキルンを冷やすことなく、連続運転することでダイオキシン類の発生リスクを下げることが可能になります。このような技術は、それほど難しいことではなく、ダイオキシン問題が騒がれてからわずか10年足らずの技術革新で廃棄物処理はダイオキシン類問題を概ね克服しました。

ダイオキシン類を排ガスから除去することが可能であれば、この問題に関してのみを取り出すと、廃棄物焼却炉の設置の立地基準に関して住居から必要以上に離れることを求める必要はなくなります。もし、ダイオキシン問題が騒がれた当時に画一的な立地基準を法定していたなら、無駄な法規制による必要以上の強い規制が残されていた可能性があります。技術の進化に対しても、許可基準は開かれていなければならならず、そうでなければ環境技術の発展は遅れてしまうことになりかねません。事業特性は技術の発展までも考慮することが可能なのです。

事業特性と地域特性を柔軟に考慮しながら、新たな地域ごとの基準を設けることが生活環境影響調査制度を含む平成9年廃棄物処理法改正の目的です。廃棄物処理法15条の2第1項が全国一律基準、2項が地域ごとの基準を定めています。

廃棄物処理法15条の2
都道府県知事は、前条第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。 一 その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画が環境省令で定める技術上の基準に適合していること。
二 その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該産業廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。

産業廃棄物処理施設設置にかかる周辺地域の生活環境の保全を図るための手段として、①周辺地域の生活環境の現況を把握し、②施設の設置による影響を予測し、③その結果を分析することを通じて、④その地域の生活環境の状況に応じた適切な生活環境保全対策等を検討することが求められています。①は現況把握(調査)、②は予測、③は評価、④は環境保全措置とよばれています。④は目的、①~③は手段の関係で、これらを総称して生活環境影響調査といいます。施設の計画を作成するために、生活環境影響調査は重要な作業とされています。

生活環境影響調査の特徴として、事業者自らがあらかじめその事業の実施が環境に及ぼす影響について、適正に調査・予測・評価を行い、それを住民参加手続や専門家意見、許可権者の意見を聴取し、計画に反映させることで環境保全について適正な配慮がなされることを確保することにあります。「事業者自ら」というところに特徴があります。調査・予測・評価、全て事業者が実施するわけですから、住民の立場からすると、事業者の都合がいいようにデータを改ざんされているのではないか、事業者の都合のいい予測条件を設定することでデータをコントロールしているのではないか、という疑いをもたれる可能性があります。焼却施設や最終処分場など一部の生活環境影響調査に関しては専門家の意見が入りますが、破砕施設などそれ以外に関しては生活環境影響調査の結果の精査は許可権者に任されることになります。生活環境影響調査の結果は、住民説明会や協定に活かされます。ですので、事業者としては、可能な限り近隣住民に対して説得力のある生活環境影響調査が必要になると言えるでしょう。

生活環境影響調査には、相当の時間と費用がかかります。しかし、改正前の住民同意を求められる行政指導と比較すれば、科学的な環境アセスメントと可能な限りの環境保全措置、それに住民への理解を求めるといったことで、廃棄物処理施設の設置が可能になるわけですから、以前よりも設置のハードルは下がったと考えることが可能です。本当に重大な環境影響が及ぶ施設であればそこには作れない、そうでないならそれを説得的に説明する、というのが弊社の生活環境影響調査の考えです。
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産業廃棄物処理施設の搬入経路の交通量調査

003.廃棄物処理施設の廃棄物処理法による分類

執筆者 河野 雅好
全国の廃棄物処理施設設置と生活環境影響調査を手掛ける環境コンサルタント
株式会社Midori代表取締役
行政書士・環境計量士
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廃棄物処理施設にはいくつかの分類方法がありますが、その中でも、①「産業廃棄物処理施設」と「産業廃棄物の処理施設」の分類、②「産業廃棄物処理施設」と「一般廃棄物処理施設」の分類、③「許可施設」と「届出施設」の分類について説明いたします。

廃棄物処理法では、一般廃棄物処理施設設置許可と産業廃棄物処理施設設置許可がそれぞれ、8条と15条に分かれて規定されています。15条というのは非常に有名な条文のひとつで、産業廃棄物処理施設に該当するものは設置許可がなければ設置できないということを規定しています。廃棄物処理法施行令7条で、産業廃棄物処理施設について限定列挙しています。これらの「産業廃棄物処理施設」は、同じく廃棄物処理法15条に定める「産業廃棄物の処理施設」の中でも特に環境負荷が大きくなると考えられるものを限定列挙しているものと思われます。廃棄物処理法15条には、「産業廃棄物の処理施設」と「産業廃棄物処理施設」というふたつの異なる概念を併せて規定していると言うと、何のことか混乱してくる方もいるでしょうから、条文をじっくり読んでいただくために15条を引用します。

(産業廃棄物処理施設) 第15条
産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設、産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。

「産業廃棄物の処理施設」という文言は括弧内に1回、そして「産業廃棄物処理施設」という文言が2回登場していることが分かるかと思います。これは気分次第で呼称を変えているものではありません。「産業廃棄物の処理施設」と「産業廃棄物処理施設」の概念は全く異なるものです。「産業廃棄物の処理施設」というのは、日常用語として解釈していただいて構いません。産業廃棄物を処理する施設は全てが「産業廃棄物の処理施設」なのです。一方、その中でも特に環境影響が大きいであろうものを「産業廃棄物処理施設」として規定しているのです。「産業廃棄物処理施設」は「産業廃棄物の処理施設」かつ「政令指定」という要件を満たす施設です。具体的には、日量5tを超える廃プラスチック類の破砕施設は「産業廃棄物処理施設」ですが、日量5tを超えない廃プラスチック類の破砕施設は「産業廃棄物の処理施設」ではあるけれど「産業廃棄物処理施設」には該当しません。

それでは、産業廃棄物処理施設に該当する場合と該当しない場合では何が違うのでしょうか。産業廃棄物処理施設に該当する場合のみ、産業廃棄物処理施設設置許可が必要になります。設置許可がなければ施設を設置することはできないという性質のものなので、施設を作る前の計画段階で計画に対する許可を受けるということになります。その際に、生活環境影響調査が求められることになります。また、自社物の処理であろうとも産業廃棄物処理施設設置許可は必要です。自社物の処理であれば、産業廃棄物処分業の許可は必要ありません。しかし、その施設が廃棄物処理法施行令7条に規定する産業廃棄物処理施設であれば、産業廃棄物処理施設設置許可を受けなければ自社物としての処理はできないのです。一方、他社物の委託処理で産業廃棄物処理施設に該当すれば、産業廃棄物処理施設設置許可と産業廃棄物処理業許可の両方が必要です。また、自社物の処理で産業廃棄物処理施設に該当しないのであれば、廃棄物処理法上は一切の許可が不要です。

施設許可と業許可のまとめ
①「他社物」+「産業廃棄物処理施設」該当 →「施設設置許可」+「業許可」
②「他社物」+「産業廃棄物処理施設」非該当→「業許可」
③「自社物」+「産業廃棄物処理施設」該当 →「施設設置許可」
④「自社物」+「産業廃棄物処理施設」非該当→ 許可不要

次に、「産業廃棄物処理施設」と「一般廃棄物処理施設」の違いについて説明します。この違いは、前者は産業廃棄物処理で、後者は一般廃棄物処理だと言ってしまえばそれまでですが、施行令の規定の仕方が異なっています。産業廃棄物処理施設を規定した廃棄物処理法施行令7条は、品目・処理能力・処理方法という3つの要素から産業廃棄物処理施設を限定列挙しています。一方の一般廃棄物処理施設を規定した廃棄物処理法施行令5条は、処理能力日量5t以上のごみ処理施設を一括りに規定しています。どのような一般廃棄物であろうとも、5t以上で必ず一般廃棄物処理施設に該当するところが、産業廃棄物処理施設との違いです。廃棄物処理法8条により、ごみ処理施設の他に、し尿処理施設、一般廃棄物の最終処分場が廃棄物処理施設として規定されています。

最後に、「許可施設」と「届出施設」の違いについて説明します。先ほど挙げた「産業廃棄物処理施設」は全て、廃棄物処理法15条の許可を受けなければいけません。一方、「一般廃棄物処理施設」については、廃棄物処理法8条の許可を受けなければならない施設と廃棄物処理法9条の3第1項の規定により届出をしなければならない施設に分かれます。このような視点での分類が「許可施設」と「届出施設」の分類です。具体的にどのような施設が届出施設に該当するかというと、これは市町村の一般廃棄物処理責任によってなされる一般廃棄物処理施設を指します。もう少し平たく言えば、市町村のごみ処理施設ということになります。この場合、民営施設の設置とは異なり、都道府県知事の許可を受けて一般廃棄物処理施設を設置するのではなく、設置後に市町村が都道府県知事に届出を行うことになります。なお、届出の際にも、許可施設と同様に生活環境影響調査書を添付することが法定されています。

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産業廃棄物破砕施設計画地の現況の騒音・振動調査

004.許可施設の生活環境影響調査から許可、施設の運営開始までの流れ

執筆者 河野 雅好
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公害防止管理者・測量士
廃棄物処理施設の分類方法のひとつとして「許可施設」と「届出施設」があります。産業廃棄物処理施設は必ず許可施設、一般廃棄物処理施設のうち市町村の一般廃棄物処理責任によって設置される一般廃棄物処理施設以外の施設が許可施設です。このあたりは、別の記事に書いてますので参考にしてください。環境省の定める「平成18年9月生活環境影響調査指針」では、廃棄物処理施設設置手続のフローを定めていますので、これについて解説します。

まず、地域の生活環境への影響を調査します。調査とは、廃棄物の処理に伴って生じる生活環境への影響を検討することです。具体的には、廃棄物処理施設の運転や廃棄物の搬出入、保管に伴う、、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、悪臭などの影響を指します。こられについて調査項目、調査方法をを選定することになるのですが、その際に事業特性および地域特性を勘案することになります。事業特性といっても、廃棄物処理法に基づく生活環境影響調査の対象は廃棄物処理ですので、同一事業であるともいえます。とはいえ、廃棄物処理事業であったとしても、廃棄物処理施設の種類や規模、処理対象の廃棄物の種類や性状により、事業特性が表れているとも言えるわけです。破砕施設と焼却施設、最終処分場を比較すれば、その事業特性は大きく異なります。この差異を生活環境影響調査において考慮しないわけにはいきません。このような事業特性、地域特性を勘案した上で、限られた予算の中で効果的な調査を実施するために、調査の簡略化と重点化を検討し、地域の生活環境の保全に適正に配慮された合理的な調査を実施することになります。ここが生活環境影響調査の最も重要な部分になりますが、今回の解説では一旦はここには詳しく触れず、手続の流れを概観したいと思います。

地域の生活環境への影響を調査した後に、許可申請手続を行います。その際に、設置の計画、維持管理の計画、生活環境影響調査を申請書に記載または添付することになります。なお、多くの自治体ではこの許可申請の前段階で、条例または指導要綱等で事前協議手続を規定していますので、事前協議手続終了後に許可申請手続に移行することになります。

事業者からの許可申請を受けて、都道府県知事は告示・縦覧手続を行うことがあります。また、都道府県知事は生活環境保全上の見地からの関係市町村長からの意見聴取を行うことがあります。さらに、専門的知識を有する者の意見聴取手続を行うことがあります。なお、これらの手続きは、全ての廃棄物処理施設に法定されているものではありません。告示・縦覧手続、関係市町村長の意見聴取手続及び専門的知識を有する者の意見聴取手続が求められているのは、以下の施設のみです。

縦覧等を要する一般廃棄物処理施設(廃棄物処理法施行令5条の2)
  1. ごみ処理施設のうち焼却施設
  2. 一般廃棄物の最終処分場

縦覧等を要する産業廃棄物処理施設(廃棄物処理法施行令7条の2)
  1. 最終処分場
  2. 焼却施設
  3. PCB処理施設
  4. 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設

これらの施設に該当しない、たとえば「木くずの破砕施設」や「汚泥の脱水施設」であれば、告示・縦覧や関係市町村からの意見聴取、専門的知識を有する者の意見聴取といった手続きは省略ということになります。ただし、これはあくまでも「法律の上では」という留保付きの解説です。先ほども述べた通り、多くの自治体では条例や指導要綱等で事前協議手続を規定しており、これらの手続きの中で関係機関からの意見聴取等が別途求められるということはありえます。これは、自治体ごとのルールを確認しなければ判断できないということになります。

なお、「専門的知識を有する者」というのは、大学教授や研究者等のいわゆる学識経験者ということになります。施行規則で専門分野についてまで規定されています。これらの専門分野は、生活環境影響調査の際の調査項目と重なります。縦覧を要する廃棄物処理施設の設置の際には、専門家の知見から生活環境影響調査に対する意見が入るということです。

生活環境の保全に関する専門的知識(廃棄物処理法施行令12条の3)
  1. 廃棄物の処理
  2. 大気質
  3. 騒音
  4. 振動
  5. 悪臭
  6. 水質
  7. 地下水
なお、これらの専門家の委員の名簿は、公表されているケースと非公表のケースがあります。非公表の理由として予想されるのは、専門委員が事業者と地域住民との紛争の板挟みにあってしまい、専門家としての意見が政治的な力などに影響を受けて中立性を欠く恐れ、または、専門委員が中立の専門意見を述べたとしても「あの専門委員は廃棄物処理施設設置の推進派(反対派)だ」というレッテル貼りをされる恐れがあるからではないかと考えています。筆者が知る専門委員は、各専門分野における一般的見地に立って中立的な意見を述べている方がほとんどです。なぜそう言い切れるかといいますと、廃棄物処理や公害防止の知見については、各分野の研究者達が通説的見地をまとめた書籍が出版されており、その書籍をもとに国家試験や資格認定がされています。これらの書籍に著された一般的知見に基づいて、専門委員は発言していると考えています。専門委員が自身の理論や学説に基づいて偏った意見を述べるというのは、ないとは言い切れませんが、普通は考えにくいと思います。

このような告示・縦覧に伴う手続きが省略されるか、あるいはこれらの手続きを経て、都道府県知事は①「国の定める技術上の基準への適合」と②「地域の生活環境に適正な配慮が行われているか」を審査します。この2つの基準が「全国一律基準」と「地域ごとの基準」です。それ以外に③能力(知識及び技能・経理的基礎)の基準、④欠格事由非該当をもって、都道府県知事は廃棄物処理施設設置を許可することになります。

許可後に、使用前検査を実施し、施設の運営管理が開始します。以後は、告示・縦覧施設に関しては維持管理状況の記録・閲覧が求められたり、一定の最終処分場については維持管理費用の積立を求められることになります。それ以外には、維持管理基準に従った運営を求められ、適切な維持管理を行わなかった場合は、許可取消を含む行政処分を受ける可能性があります。

公告・縦覧施設に該当しなければ、随分と簡単な手続きに感じたかもしれませんが、実際は条例・指導要綱等に基づく事前協議手続があることも多く、その中で意見照会や近隣住民との合意形成手続が求められます。また、専門委員会にかけられなくても、各都道府県の環境部局より生活環境影響調査に対する詳細な指導がされていますので、告示・縦覧の有無に関わらず、手続きは重たいものになります。
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005.生活環境影響調査の基本的な流れ

執筆者 河野 雅好
全国の廃棄物処理施設設置と生活環境影響調査を手掛ける環境コンサルタント
株式会社Midori代表取締役
行政書士・環境計量士
公害防止管理者・測量士
廃棄物処理施設の設置手続において、事業者は生活環境影響調査の結果を記載した書類を申請書に添付しなければなりません。これは、以前の記事「002.生活環境影響調査制度により「地域ごとの基準」が許可基準として新設」で解説した通り、平成9年の廃棄物処理法改正により、「全国一律の技術上の基準」に加えて「地域ごとの基準」が廃棄物処理施設設置の許可要件になったさいに、地域ごとの基準適合性の判定のために取り入れたものです。ちょっと分かりにくいと思いますので、「002.生活環境影響調査制度により「地域ごとの基準」が許可基準として新設」の重複になる点もあるかとは思いますが、この点をまず説明します。

平成9年改正よりも前の廃棄物処理法では、廃棄物処理施設設置の許可基準として「技術上の基準」のみを規定していました。ところが「技術上の基準」では、廃棄物処理施設の立地に対する基準を設けていなかったため、全国で廃棄物処理施設設置と運用を巡る地元住民と事業者との紛争が相次いだのでした。香川県の豊島で大規模な不法投棄事件が起きたことがニュースで報道されるなどして、廃棄物処理施設に対する住民側の危機感も高まったことも紛争の温床になっていました。一方、廃棄物処理施設が社会に必要なインフラであることは疑いようがないことで、十分な処理施設が確保できなければそれも不法投棄の要因になりうるわけです。このような問題に対して、平成9年に廃棄物処理法を改正することで「地域ごとの基準」を導入することで対応したのでした。その条文を引用します。

(許可の基準等) 第15条の2
都道府県知事は、前条第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 (略)
二 その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該産業廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。

「廃棄物処理施設の設置計画と維持管理計画が、周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がされていること」が許可の基準となったのです。言い換えれば、周辺地域の生活環境の保全に対して適正な配慮がなされていると認められないときは、都道府県知事は廃棄物処理設置許可申請に対して不許可処分をすることが可能ということになります。それまでは、住民同意を求める行政指導が多かったようです。しかし、住民同意には法的な根拠はありませんでした。そもそも、誰かの事業に対して近隣が同意をするとか同意をしないとかの話が法律論として奇妙なのです。他人の権利や利益を侵害しない限り、そのようなことを口出しする権利は誰にもありません。それが所有権というものです。とはいえ、全国各地で廃棄物処理施設をめぐる紛争が実際に起きていたのは、一部の廃棄物処理施設の運営が他人の権利や利益を侵害していたからなのです。廃棄物処理法は、他人の廃棄物処理施設によって侵害される可能性のある権利や利益を「周辺地域の生活環境の保全」という文言で保護したのです。なお、「生活環境の保全」という文言は、廃棄物処理法1条の目的規定にも定められています。

平成9年改正により、廃棄物処理施設設置を計画する事業者は「周辺地域の生活環境の保全」を考慮したうえで「適正な配慮」をしなければ許可を受けられなくなりました。では、具体的にどのように考慮し、どのように配慮すればよいのか。そのために必要なのが生活環境影響調査なのです。生活環境影響調査の基本的な流れは、以下の通りです。

生活環境影響調査の基本的な流れ
  1. 調査事項の整理
  2. 調査対象地域の設定
  3. 現況把握
  4. 予測
  5. 影響の分析
  6. 生活環境影響調査書の作成

まずは、調査事項を整理することになります。調査事項の整理は、廃棄物処理施設の設置にあたり環境に影響を与えることが考えられる事項について、その調査項目を選定することです。廃棄物処理施設の稼働(破砕機の運転や浸出液の水処理など)に伴って生じる騒音・振動や水環境(水質)などが該当します。あるいは、廃棄物の搬入に車両を使う場合は、搬入出車両の走行に伴い道路沿道の騒音・振動や大気質に影響を与える可能性があります。これらの影響に関して、事業特性(廃棄物処理施設の種類及び規模、廃棄物の種類・性状)や地域特性を勘案し、必要な生活環境影響調査項目を選定することになります。調査事項の整理には、項目の選定のみならず、項目の非選定についてもその理由を整理する必要があります。たとえば、木くずの破砕施設であれば通常は施設からの排水は発生しません。そうすると、施設排水が発生しないため水質汚濁の可能性がない、ということを理由に、水環境は調査項目として選定する必要はないということになります。このような調査項目の選定・非選定を含む調査事項の整理は、事業者が行うこととなります。事業者側としては、調査項目をなるべく選定したくないと考えるかもしれませんが、その場合には「周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされていない」として不許可理由(または不十分として補正理由)になる可能性があります。再度、調査事項の整理からやりなおしということになれば、許可までの期間も余計にかかってしまうことになります。

次に、調査対象地域を設定することになります。調査対象地域の設定にあたっても、事業特性(施設の種類・規模)、地域特性(①立地場所の気象・水象等の自然的条件と、②人家の状況などの社会的条件を含む)をふまえ、調査事項が生活環境に影響を及ぼすおそれがある地域を事業者が設定します。大気質への影響に関しては、たとえばがれき類の破砕施設では粉塵の発生のおそれがありますが、粉塵の影響範囲は比較的狭い範囲に限定されます。一方、廃棄物焼却施設から発生する排ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)の影響範囲は比較すると広い範囲にまで及ぶことが予想されます。昼間に稼働させる施設と24時間稼働させる施設では、騒音・振動の周囲への影響も全く異なるでしょうし、近隣が住宅地の場合と工業団地の場合では周囲への影響は全く異なるものとなるでしょう。このように、事業特性と地域特性を考慮したうえで、個別に調査範囲を設定することになります。




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更新情報

2024年 4月 1日
生活環境影響調査が廃棄物処理法に定められた理由
2024年 4月10日
生活環境影響調査制度により「地域ごとの基準」が許可基準として新設
2024年 4月20日
廃棄物処理施設の廃棄物処理法による分類
2024年 4月30日
許可施設の生活環境影響調査から許可、施設の運営開始までの流れ
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企業情報

会社名
株式会社Midori
創業
2003年 4月
設立
2017年 12月
代表取締役
河野 雅好
従業員
12名(グループ全体33名) 2024年3月現在
広島本社
〒730-0835
広島県広島市中区江波南2-1-21
TEL 082-297-7720
東京支店
〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目8-1 新宿セブンビル 610A
TEL 03-6380-0086
大阪支店
〒542-0083
大阪府大阪市中央区東心斎橋一丁目18番14号 大阪美宝会館401
TEL 06-6121-2420 
福岡支店
〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町1番1号 明治通りビジネスセンター本館201
TEL 092-402-1699
営業許可等
計量証明事業所登録(音圧レベル 広島県知事第K-119号)(振動加速度レベル 広島県知事第K-120号)
測量業登録(登録第(1) -37139号)
行政書士登録(弊社代表取締役)
事業内容
・環境アセスメント
・廃棄物処理法に基づく生活環境影響調査
・工場、廃棄物処理施設等の設計及び環境保全措置に係るコンサルティング
・環境測定分析及び騒音振動測定
・計量証明事業
・測量業
弊社保有資格
技術士(建設部門-建設環境) 1名
環境計量士(騒音・振動) 2名
環境計量士(濃度)1名
水質1種公害防止管理者  2名
騒音・振動関係公害防止管理者 1名
ダイオキシン類関係公害防止管理者 1名
産業廃棄物中間処理施設技術管理士 1名
最終処分場技術管理士 1名
環境騒音・振動測定士初級 1名
測量士 1名
測量士補 2名
行政書士(有資格者含む)4名
乙種4類危険物取扱者  1名

(令和 6 年 4 月 1 日現在)

講習会等
東京都一種公害防止管理者  1名
特別管理産業廃棄物管理責任者講習会修了者 1名
医療関係機関等を対象にした特別管理産業廃棄物管理責任者講習会修了者 1名
PCB廃棄物の収集運搬業作業従事者講習会修了者 2名
産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会(新規)収集・運搬過程 修了者 1名
産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会(新規)処分過程 1名
産業廃棄物処理実務研修会 受講者 1名
廃棄物行政担当者研修会修了者 1名
ECO検定 4名
産業廃棄物・汚染土壌排出管理者講習会 総合管理コース 1名

(令和 6 年 4 月 1 日現在)

運営サイト
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吉島合同事務所 https://yoshijima-sanpai.com/
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